膝の痛みや股関節の痛みで苦しんでいる高齢者は多い。痛いもんだから、外出する機会も減る。刺激を受ける機会が減るからだろうか、気力も体力もどんどん衰えていってしまう。
変形性関節症や関節リウマチといった病気では関節の破壊が進行し、それによる痛みが発生する。
これらの治療において、もちろん自分の骨を温存できるのが一番なのだが、病勢が強くてそうも行かない場合がある。
そんな時に最後の手段としていい治療法がある。それが人工関節だ。これを行った患者さんたちの多くはとても満足して退院していく。
いい治療法なのだが、まだ未解決の問題がある。
3つ挙げると、
- 感染
- 人工関節のゆるみ(耐久性の問題)
- 脱臼
今日は2,3に関して最近関連した論文に目を通したのでここに書いておく。
人工股関節では素材に関して、しゅう動面に金属とポリエチレンを使った場合、金属と金属を使った場合の2通りの選択肢がある。
金属と金属の間にある白い素材がポリエチレン。
こちらが金属と金属で組み合わせた人工股関節。
どちらがいいか結論は出ていないが、臨床の現場での多数派はまだ金属とポリエチレンを使った方である。
金属と金属を使った人工関節は最近
- 脱臼を減らす
- 摩耗を減らす
脱臼を減らすためにはHeadという部分が大きい方がいいのだが、そうすると、金属の摩耗が増えてしまうのではないかと危惧されている(ジレンマ)。金属がイオンとして血中に入り込み、人体に害を加えるのではないかとということだ。
それに対して、以下の論文はそうでもないから大丈夫と主張している。
SpringerLink - Clinical Orthopaedics and Related Research®, Online First™
次の論文は、脱臼も少なく、摩耗も少なければ人工関節としては耐久性に優れているはずだから、やむを得ず若い人に行う場合にいい素材になるのでは?と主張している。
Metal-on-Metal Hip Arthroplasty in Patients Thirty Years of Age or Younger -- Girard et al. 92 (14): 2419 -- Journal of Bone and Joint Surgery
まだまだ結論は出ませんが、人工関節の素材についてはこれからも研究が続けられていくものと思います。
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