新聞を読んでいると、コンドロイチンやグルコサミンのサプリの宣伝をよく見かけます。
”関節痛をなくして、痛みのない快適な生活を”という内容のものです。
若い人は興味がわかないかもしれませんが、高齢者にとって関節に痛みがあるということはとても大きな問題です。
高齢者の膝痛は変形性膝関節症に由来するものが多く、町中で見かける高齢者のO(オー)脚はほとんどコレです。
膝の軟骨がすり減って、さらには骨の変形をきたすものだ。一種の老化とも考えられます。だから、若い頃のような膝に戻して欲しいと言っても、それは難しいのです。
なので通常、治療は 貼り薬飲み薬などの鎮痛薬を用いたり、運動療法などの理学療法を用います。理学療法というのはリハビリのことですが、リハビリの効果はあなどれません。なかなか患者さん自身に指導しても長続きしないということが多いのですが。。
それでもダメな人は膝関節の中にヒアルロン酸の注射をします。
それでもダメなら人工膝関節などの手術の適応となります。人工関節の手術は昔と比べてだいぶ進歩しており、比較的安全にいい長期成績を残せるようになってきています。
しかしながら、誰しも初めから手術を望む人などいません。医師もできれば手術をせずに治せればいいと思っています。
そこで、軟骨がすり減るんだったら、それを作るような物質を摂取すればいいのではないか?という発想に至ります。
軟骨を構成する成分にコンドロイチンやグルコサミンなどがあるので、これをターゲットにしてみてはどうか?と。
たしかにコンドロイチンやグルコサミンを摂取することで軟骨が復活するようなことがあればいいのでしょうが、実際のところどうなのでしょう。
現在市販されているサプリはこの点に注目しているわけですね。
しばらく前の論文ですが、NEJMというメジャーな論文でそのことについて検討されていましたので紹介しておきます。
Glucosamine, Chondroitin Sulfate, and the Two in Combination for Painful Knee Osteoarthritis ― NEJM
この論文が示しているのは、コンドロイチンやグルコサミンは内服しても、明らかな効果を認めなかったということ。有意差をもって効果が証明されてはいません。
結論のところでさらなる研究の継続が必要ということが付記してありますが、絶対効きますということは決して言えないということです。
「痛みに対しては効果があるかもしれないし、内服しても大した副作用はないから、飲みたい人は飲んでみればいいかもしれない。」という程度です。
それなのに、サプリの売り手があたかも根本的な治療になるかのような誇大広告を打つのはどうなんでしょうかね。
あれを見たら、消費者はとてもよく効くと思ってしまいますよ。僕のまわりにもそう思っている人がたくさんいて、よく相談されます。
新聞などで一面を使って広告が掲載されているのを見て、そう感じた次第です。
グルコサミン - Wikipedia
コンドロイチン硫酸 - Wikipedia
軟骨 - Wikipedia
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