ドラッグラグという言葉がある。
ドラッグ・ラグ - Wikipedia
ドラッグ・ラグとは、新開発の薬を患者に投入できるまでの時間差、あるいは、海外での新薬を国内承認できるまでの時間差のことである。海外との関係では、標準的に承認されている医薬品について、国内で承認されない状況が続いたり承認が遅かったりする問題と、海外で危険性が指摘されているにもかかわらず使用の継続が認められる問題をさす。
ドラッグではないけれど、同様のことが整形外科分野でも言える。
整形外科分野の一つに骨折という病態がある。骨折の手術法にはプレートで固定する場合もあれば髄内釘という器械を使う場合もあったり、金属製のワイヤーで固定する場合もある。
金属の内固定剤をインプラントと言う。このインプラント、利用できる種類が米国と日本では違うのだ。もちろん日本の方が選択肢が少ない。
例えば、右の写真のようなプレート。
触ってみると分かるのだが、スネの骨は皮膚のすぐ下に存在する。ここにプレートをあてるなら、なるべく薄い方が皮膚へのダメージが少なくていい。
このダメージにより、皮膚が壊死したりなんかすると大変で、なかなか新しい皮膚ができてこなかったりする。場合によっては植皮が必要になったり。
米国で発売されているこのプレートは、骨にフィットするようにと改良されて作られたもの。これは日本では使うことができない。日本で今利用出来るのはこのプレートの一世代前のもので、かさばるタイプのもの。
もちろん使っても問題を起こさないことが多いんだけど、できればより安全に手術がしたいし、余計な合併症は作りたくない。それが患者にとっても望むところだと思う。
素材とか強度とか、安全面でクリアしなければいけない課題もあるのだと思う。だけど、米国で使用されている実績があるものがどうして日本で使えないのか。日本人と米国人は違うというのであれば、日本でスムーズに認可できるように制度を変更すべきではないのか。
そんなことを考えながら日々患者さんと向き合っています。
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