2009/09/26

手根管症候群の治療


lancet





という論文から。

日常診療でもよく遭遇する手根管症候群の話題です。

手首のあたりで正中神経という神経が締めつけられて起こる疾患です。指がしびれたり痛くなったり、力が入らなくなったりします。

手根管症候群 - goo ヘルスケア

治療は注射などの保存治療か手術治療のどちらかになります。

今回のこの論文では保存治療よりも手術治療の方がいいですよ、というようなことが書かれています。

まあ、この結果自体に目新しいものはありませんね。普通は注射などの保存治療をしばらくやってみて、ダメなら手術治療になりますから。

みんながそうだろうと思っていることを、きちんとランダマイズドトライアルで証明したところが素晴らしいですね。


詳しく知りたい方は原文をあたってみてくださいね。




2009/08/28

手首の骨折(橈骨遠位端骨折) 最近の知見


ここで紹介する論文はアメリカでの調査なのですが、日本の今後というか現状にもあてはまりそうだったので読んでみました。

手関節(手首)の骨折は日常診療でもよく見かけます。common diseaseならぬcommon fractureだと思います。





手関節の骨折は伝統的に手術でない治療、つまり徒手整復とギブスによる治療が行われてきた。

現在もその傾向は変わらないが、2000年ころから手術による治療が増えてきた。

それはロッキングプレートという、骨どうしを強固に固定できるシステムが開発されるようになってきたからだ。これにより多少骨がすかすかな骨密度の低い高齢者にもプレート固定ができるようになった。

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実際に手関節の骨折で手術になった人の割合は1996年には3%だったのが、2005年には16%になっている。

まだまだギブス治療の方が多いが、今後さらに手術となる症例が増えるかもしれない。

奇妙に思われるかもしれないが、手術で治療するかギブスで治療するかは、骨折型による厳密な区分けよりも治療にあたる医師の裁量による。

どちらの治療法を選択しても直すことはできるからだ。要はどこまでの機能を求めるかという点にある。

手の外科を専門とする整形外科医なら手術治療でよりよい手関節機能再建を求めるだろう。しかし、そうでない整形外科医はあえて手術治療を選択しなくても、そこそこの手関節機能が得られるギブス治療を選ぶというわけだ。

したがって今後もギブスによる治療がなくなることはなさそうだが、ロッキングプレートという新しいデバイスは手関節骨折の治療に新たな風を巻き起こした。



もう一つ最近の論文でこれに関連したものがあったので一緒に紹介しておきます。




これによると手関節の骨折を手術で治した結果と、ギブスで治した結果は1年後の経過では機能(手首の動きとか)の面では特に差はなかったとのことです。

受傷、手術して1か月半とか2カ月の時点では手術治療を行った方が手首の動きの面からも患者満足度が高かったと書かれています。

若い人で、仕事やスポーツに早期に完全復帰したい人は手術治療を選択した方が良さそうですね。
お年寄りで別に治ればいいです、って人はギブスで治してもらうといいのかもしれません。

注意しておきますが、もちろんどっちの治療を選ぶにしても治療する人の腕に左右されますからね。




2009/08/11

Vertebroplasyは効果がない!?腰痛治療にがっかりな結果。


若田光一さんが宇宙から帰ってきて間もないですが、帰国後、骨粗鬆症を心配するニュースがありました。

宇宙は無重力空間ですから、地球上で意識せずにかかっているはずの重力が身体にかかりません。

人間の骨は破壊と生成を絶えず繰り返していますが、無重力空間だとこのサイクル遅くなります。そうすると、骨密度が低くなり、骨粗鬆症となります。

この病態は通常高齢者に多くみられるものです。骨粗鬆症がひどいと、脊椎が圧迫骨折を起こします。高齢者の背中が丸くなっているのは症状の有無にかかわらず圧迫骨折を起こしているからです。

脊椎の中でも腰椎や胸椎の下の方でよくこの圧迫骨折が起きます。

圧迫骨折の治療は通常、痛み止めを使いながらつぶれた骨が固まってしまうのを待ちます。痛みはかなりひどいことが多いので、体幹コルセットやカルシトニン類似の注射などを使うこともあります。
他にはVertebroplastyという1990年代から注目されてきた治療法があります。

日本ではどこの病院でもやっている治療法ではありません。どんな方法かと言うと、

The treatment, vertebroplasty, injects an acrylic cement into bones in the spinal column to ease the pain from cracks caused by osteoporosis, the bone-thinning disorder common in older people.

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と脊椎の中に医療用のセメントを注入して骨を固めてしまうという方法です。


Doctors began performing it in this country in the 1990s, patients swore by it ― some reporting immediate relief from terrible pain ― and it soon caught on, without any rigorous trials to determine whether it really worked.

これで腰痛がよくなると言われてきました。日本だとあまり一般の整形外科ではやっていませんが、ペインクリニックなんかでは行っているようです。


今回のこのニュースはこの治療法を否定する内容になっています。

The studies of vertebroplasty, being published Thursday in The New England Journal of Medicine, found it no better than a placebo.

このネタの出所は「The New England Journal of Medicine」という権威ある医学雑誌です。

The researchers prepared cement even during the sham procedure, so patients would smell it and imagine they were receiving it. The Americans assessed the patients one month later, and the Australians at one week and at one, three and six months.

対照群ではセメント注入と同じ手技でセメントの香りまで演出して患者に体験させています。

Vertebroplasty failed the test in both studies. The treated patients and the control group each had pain relief, but there was no difference between them.

結果、対照群でも痛みがとれたと。プラセボ効果ですね。セメントを注入してもプラセボでもどちらも同じくらい痛みがとれるのではセメントを注入した方がいいということにはならないですね。

これは衝撃的な結果でした。痛みに対する治療というのは本当に難しいものだと思います。





2009/08/07

ファッションと腰痛


腰痛予防に役立つ記事があったのでご紹介。

靴について

  • ハイヒールはやめて履き心地のいい靴を
  • せめて通勤時は履き心地のいい靴を。そしてオフィスに着いたらスタイリッシュな靴に履き替えて。
  • できれば支持性のある靴がいい。クッションの入った。その方がいい姿勢を保つのにいいから。土踏まずのあるきちんとした靴、でなければ中敷きを利用するとよいということだろう。
衣服について

  • 服も快適なものを。窮屈な服はいい姿勢をとるのに不適。

カバンについて

  • ハンドバッグの中身をできるだけ取り出してなるべく軽くすること。
  • バッグは長くて幅広のストラップがついたショルダーバッグにし、これを身体を横切らせるようにしてかける(メッセンジャースタイル。)
  • メッセンジャースタイルができないなら、時々右、左、とバッグをかける肩を入れかえること。
  • 荷物が重くても、姿勢はまっすぐ。猫背にならないようにすること。


Fashion and Back Pain 
Your Huge Handbag May be Stylish, But is It Worth the Pain? 
Kelly Rehan Medical Writer SpineUniverse Wheaton, IL 


2009/08/05

医療問題



本書は日本の医療制度と2006年の医療改革を中心に書かれていますが、今の医療制度を理解するのにも役立ちます。


先日、診療報酬の不正請求をめぐる詐欺容疑で摘発された山本病院ですが、今回はこのニュースと関係の深い診療報酬制度のことについて書いてみます。


ベーシック 医療問題 (日経文庫)ベーシック 医療問題 (日経文庫)
(2006/11)
池上 直己

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まずは医療費負担のこと


国民医療費は約31兆円ですが、それは誰が負担しているのでしょうか。

簡単に分けると、企業、国、病院にかかった本人です。これらがどれくらいの割合で負担しているのかを調べてみると、その内訳は保険料が15兆円、自己負担が5兆円、税金が10兆円となります。つまり、保険者が約半分、税金が約35%、医療をうけた人が15%を負担しています。

税金や自己負担は分かりやすい財源ですが、保険者というのはなんでしょうか。保険者が全体の約50%も負担しています。

保険者といのは企業や学校などが運営する組合健保や共済組合、中小企業を助けるために政府が運営している政府管掌健康保険組合(政管健保)、自営業者は無職の人々のためにある国民健康保険(国保)などです。(政管健保は2008年10月に全国健康保険協会が運営する協会けんぽに変わりました。)

これらの組合が保険料の一部を負担しています。

組合健保であれば、企業が保険者負担分の全てを負担します。政管健保にはそこまでの経済的な余力がないので国がある程度補って負担します。医療費全体の14%です。国保は負担してくれる組織がないので、すべて国が負担することになります。医療費全体の50%です。

国保の場合は医療費の85%が国からの財源でまかなわれていることになりますね。

定年退職した高齢者が多くなればなるほど国保加入者が増えるので、政府の負担が増えます。だからなんとかして退職者の分の保険料も組合健保に負担してもらおうと躍起になるわけです。


医療費負担と診療報酬との関係


どうして政管健保や国保では政府が補てんしないといけないのでしょうか。

それは、医療行為や薬価が決められた額に設定されていることが大きく関係しています。国民一人一人の負担割合が決まっていることも原因の一つです。政管健保や国保では自己負担で足りなかった分を企業が負担してくれないので、かわりに政府が負担してあげる必要があるのです。

アメリカのように保険者が自由に価格を設定すると、保険者により受けられる医療に差が出ます。お金のある人ならこれでいいでしょうが、ない人は大変です。生活困窮者はただでさえ病気になりやすいのに、早めに病院にかかれなかったら病状が悪化してから病院に運ばれるという事態になります。病院内で最もコストがかかるのは急性期医療ですから、お金がない人に対して優しくない医療制度は医療費高騰の原因にもなります。また、病院としてもこれらの患者からはきちんと医療費を支払ってもらえないでしょうから、経営が圧迫されることになります。

定められた医療の価格のことを診療報酬(レセプト)と言います。日本では教授が行った治療も、研修医が行った治療も同じ行為であれば、同じ額しか支払われません。診療報酬制度に基づいているからです。価格が定められていれば、ある程度総医療費もコントロールできるはずです。



不正請求事件の病院に月2千万円売り上げ、詐欺容疑業者



では、つい先日のこの事件はどうして起きたのでしょうか?

診療報酬明細(レセプト)ですが、これは病院で作られた後、厚生労働省の諮問機関である中医協の審査にまわります。そこで有識者によるチェックを受けてOKなら診療報酬が支払われます。

チェックといっても有識者がきちんと目を通すことがきるレセプトの数には限りがあります。膨大な量のレセプトに少ない数の審査員が全て目を通すのは無理な話です。これは容易に想像がつきます。ということは、ある程度チェックの目をすりぬけたレセプトが認められ、診療報酬が支払われることになります。また、レセプトは紙、もしくは電子システムです。いずれも入力するのは人間ですから、恣意があればいくらでも改ざんできます。それがチェックする人の目をすり抜けると、今回の山本病院のような不正請求につながります。


日本の医療制度における診療報酬制度は国民に平等な医療を提供する、医療費をコントロールするという意味では立派な仕組みかもしれませんが、今回のように不正請求をすり抜けてしまうという脆い一面も持っているということです。


ベーシック 医療問題 (日経文庫)ベーシック 医療問題 (日経文庫)
(2006/11)
池上 直己

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2008/09/28

医療・ヘルスケア ビジネス最前線


医療ビジネスに関する本を読みました。

この本は
”医療にまつわる様々なビジネスの現在と未来、さまざまなビジネスモデルについて解説している本”
です。


企業トップが語る「医療・ヘルスケア」ビジネス最前線―変貌する巨大市場に挑む (東京大学大学院医学系・薬学系協力公開講座)企業トップが語る「医療・ヘルスケア」ビジネス最前線―変貌する巨大市場に挑む (東京大学大学院医学系・薬学系協力公開講座)
(2005/10)
東京大学大学院医学系薬学系協力公開講座「医療経営学概論」木村 廣道

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日本の医療費は約30兆円。
人間ドック、美容外科などの自由診療や健康食品、フィットネスクラブ、保険などの周辺産業を合わせると約70~100兆円の市場です。

まだまだこの市場は伸びる可能性があります。
高齢化が進むということは医療を必要とする人が増えるということです。需要のある所にお金は集まります。
また、財源確保のために、混合診療が認められるようになるかもしれません。
そうすると、今までより自由診療の幅が増え、そこは大きなマーケットになるでしょう。
また、医療は日々イノベーションが探求されている分野です。iPS細胞などの再生医療をめぐり、今後莫大なお金が動くことも必至だと思われます。


この本で取り上げられているビジネスモデルを紹介します。

1.予防医療ビジネス
リゾートホテルと検診施設を融合させた事業です。
富裕層を対象にしています。
富裕層は自分の健康に対してお金をあまり惜しまない傾向にあるようで、利益を上げています。
検診施設には最新の医療機器PETを導入して癌の早期発見に貢献しているといいます。

2.システム構築
セコムが開発している新しいネットワークシステムです。
どういうものかというと、例えば検査画像を1か所に集積し、そこから各医療機関、検査機関で情報の共有をさせようというものです。

3.フィットネスクラブ
若者の健康増進だけではなく、高齢者の健康増進に着目しているところが発想に優れていると思います。
高齢者の会話は若者と違って、健康に関することが多いと思います。
つまり、高齢者ほど自分の健康を気にかけています。たぶんそれは周囲と比較したりして、自分の病気になった姿がより具体的にイメージできるからなんだと思います。
それだけ気にかけている高齢者ですから、自分の健康管理には若者以上に気を使います。
お金を持っている高齢者なら、多少のお金を払っても健康増進のためのフィットネスクラブに通います。
このビジネスモデルで成功している企業(スポーツフレックス)は、フィットネスクラブに医師、クリニックなどの医療機関を介入させて付加価値を高めています。
自分の健康管理に医師が関わってくれると分かれば、より多くの高齢者が積極的にそのフィットネスクラブを利用するでしょう。

4.ヘルスケアサービス
健康診断などの保健事業における「計画→実践→評価」のプロセスに着目したビジネスです。
このプロセスをDisease Management(略してDM)と呼びます。
オムロンヘルスケアはこのプロセスの”計画と評価を支援するソフト”や、実践につながる”行動変容プログラム”を作ってビジネスを行っています。

5.女性医療
日本シエーリング社は海外に比べてまだ日本ではあまり普及していないピルを広めようとしています。
ピルと言うと、効果として避妊を思い浮かべる人も多いと思いますが、それ以外にも月経痛を和らげる作用もあります。
女性の月経痛は男性には分からないとても辛いものです。月経痛により仕事に支障をきたし、場合によっては休職せざるを得ない場合もあります。
厚生労働省によれば、この月経痛による社会的損失は年間約1兆円と言われています。

そう考えるとピルが今以上に普及する可能性はあるかもしれません。

6.健康リスクマネジメント
EAP(Employee Assistance Program)という事業。
社員による健康上の問題から生じる損失はバカになりません。
社員が会社を休んだり、病院にかかったりすることは企業にとって負担です。
さらにはうつ病だと、その原因として労働環境が原因にされることもあり、訴訟では企業が負けるケースも多々あります。
そういう身体的、精神的疾患に対する予防事業がEAPです。
アメリカではすでに40年の歴史がありますが、日本では最近導入された概念です。

7.介護
超高齢化社会に向けて、当然需要の高まる事業です。
教育関係で有名なベネッセが力を入れています。

8.健康食品
コンビニにも売っている特定健康保険用食品です。
ヘルシア緑茶とかエコナオイルとか。
他の類似商品より割高でも、
「何百円かの差なら健康優先でしょ」
と思って買う人は多いようです。

9.ドラッグストア
巨大ドラッグストアのマツモトキヨシです。
ここまで成長できたのには若者に対するマーケティングや、物流システムの構築に鍵があるようです。
そんなマツモトキヨシでもアメリカのドラッグストアに比べると売上にして約10倍違います。
今後も外資のドラッグストアに対抗するために、日本のドラッグストア業界は統合や合併が進んでいく可能性があります。

10.化粧品
アンチエイジングが取りざたされていますが、やはり高齢化が進むにつれアンチエイジング効果のあるものに興味を持つ人もどんどん増えると予想できます。

11.サプリメント
薬じゃないけど、手軽に飲めて効果がありそうな”サプリメント”は多くの人が関心を持っているものだと思います。
ちょっと前に流行った、アンチエイジング効果があると言われているコエンザイムQ10などがありますよね。
私も患者さんによく
「膝の痛みにヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸が効くって聞いたんですが、実際のところどうなんですか?」
と患者さんに聞かれます。

サプリメントというのはそれだけ関心の高い商品なんだと思います。


医療をめぐって本当に様々な事業が行われているんだな、と新鮮な発見がたくさんありました。
もっと病院の外にも目を向けていかなければならないな、と感じました。


2008/09/09

医療崩壊


とても納得できる本でした。
著者は某有名病院の部長(その科のトップ。実際のイメージは部長というよりは取締役みたいな感じかな)です。
医者からの目線で書かれています。

・医師と患者、司法、警察の医療に対する考え方のギャップ
・崩壊したイギリス医療
・立ち去り型サボタージュ(勤務医をやめ、開業医になることを選ぶ医師が増えている。)
・医局制度の問題点と医師のキャリア
・厚生労働省の問題

について主に述べています。
内容を少しずつ、主観的な解釈を加えて公開します。


医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
(2006/05)
小松 秀樹

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考え方のギャップについて

医師は医療を完全安心なものとは思っていないのに対し、患者はおろか、検察、弁護士、警察までもが完璧な医療というものに幻想を抱いている。

例えば手術に関連した医療訴訟があって、ある弁護士はマニュアルがないことを問題視したそうです。マニュアル通りにやれば誰がやってもミスなく、手術を行うことができるのか?
答えはノーです。
難しい手術になればなるほど、術者の経験や勘が必要になります。
これがマニュアル通りやれば出来るんだったら、研修医でも出来てしまいます。
経験を積まなければ出来るようになりません。
一流のシェフになるためには、たくさん経験を積まなければならないのと一緒です。一流シェフが作る料理の過程を全てマニュアル化できたら同じ味が再現できるのでしょうか?



イギリス医療の崩壊について

イギリスの医療では自己負担ゼロです。(医療経済学2
税金でほとんど賄われています。
この制度がどういうことを引き起こしているかと言うと、患者が必要なサービスを必要な時に受けれないという状況が生まれています。
具体的に言うと、自分の主治医を自分で選べないし(行政が決める)、風邪を引いても簡単にアドバイスをされるだけで、いよいよ具合が悪くなったからと言っても、入院まで2,3日待たされるというような状況です。
さらに、手術を受けるのもかなり待たされるので、待っている間に癌が進行するというようなことも起きます。



立ち去り型サボタージュについて

そんな状況では患者にうっぷんが溜まります。あたりまえです。
そうすると怒りの矛先はどこに向かうかと言うと、、、医師です。
暴力事件なんかも起きています。

こんな状況では医師は自国の病院にすらいる気にはなれません。海外に職を求めて移動することになります。


日本の立ち去り型サボタージュは勤務医から開業医への流れです。
待遇や訴訟の問題から開業医になる人が増えています。
ちなみに開業医と勤務医では労働は勤務医の方がきついのに、収入は開業医の方が多いといった逆転現象が起きています。



医局制度の問題点と医師のキャリア

教授を頂点とした縦割り制度ですね。
もちろん、その権力を利用した医局員の再配置はメリットも多いと思いますが、どこか歪んだ構造になっています。
医師として出世をして教授になろうと思ったら、何より論文を書かなければなりません。
論文はもちろんインパクトファクターが高い方がいい(代表格はNature,Sciense,Cellとか)。
インパクトファクターが高い雑誌というのは臨床医学の雑誌ではなく、基礎医学の雑誌に多いのです。そうすると、臨床の研究をやるよりは基礎の研究をやった方が実績につながるので、大学院では基礎の研究をやる、ということになります。
(もちろん、臨床の研究をバンバンやっている大学病院もあるとは思います。)

これってどうなんでしょうか?
基礎の医学研究をするのに医師の免許はいりません。理学部出身の人の方がよっぽどいい研究ができるのではないでしょうか?
それだったら基礎医学ではなく、医師しかできない臨床医学の研究に力を注ぐべきだと私は思います。
また、医師として脂が乗ってきたところに大学院に行って、研究の片手間にアルバイトで臨床をするというのはあまり合理的ではないと思います。



厚生労働省の問題は対応が常に遅いということです。

昨今話題になっている医師不足の問題。
どうしてこんなに切迫した状況になるまで気づかないのでしょうか?

原因の一つに厚生労働省の役人には現場をよく知る役人が少ないことが挙げられます。
医系技官といって医師免許を持った役人もいますよ。
だけど、多くの医系技官は医学部を卒業してすぐに役人になったり臨床の経験が乏しい場合が多いのです。



色々な点で考えさせられる本でした。


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