2008/08/21

医者はどうして後発薬を使いたがらないのか?


今日のニュース
沢井製薬(4555)は「後発薬生産を一斉に拡大」との報道が材料視されるを見て、
このニュースの内容とは直接関係ないのですが、

後発薬に変更不可が4割  処方せんに医師の署名
というニュースと関連した後発薬品に関する話題。


医者はどうして後発薬品を使いたがらないか?

現場の視点から考えてみました。
その答えを2つ考えました。

まず、現在使うことが可能な薬は膨大な量、膨大な種類あります。
現在、医療界には日々新しい薬が登場しています。
新しい薬が登場したら、少なくとも自分の専門分野に関わる薬について、その都度、名前から効能、副作用まで覚えるわけです。当たり前ですが。
後発薬品が先行薬品と比べて効果が同等で、安価であるというのは分かります。
しかし、先行薬品に対する後発薬品の数は一種類ではありません。何種類もあるんです。
そうすると、医者が覚えなければならない薬の数は先行薬品の数×後発薬品となって結構な数になるわけです。

馴染みのない薬はなかなか使うのに気が引けるのが人情です。
また、後発薬品が巷にあふれたら、例えばたくさん薬を飲んでる患者さんが入院した時、その飲んでいる薬を全部調べなければならないので、それだけでも結構な労力になります。
先行薬品だったらしょっちゅう目の前に登場するので、ある程度知っています。だから調べる手間も省けます。



もう一つの理由ですが、
医者にとって後発薬品を処方しても実際には何のメリットもありません。
例えば給料に反映されるとかですね。
そもそも国民医療費のことを一番に考えて臨床をやっている医者はいないんじゃないかと思います。

だったら、作業がより省ける手法を選んでしまいます。


それは医者の余裕のなさを示しているのかもしれません。


じゃあどうすればいいか?

処方箋には基本的に特別な理由がなければ、後発薬品への許可は”可”にする、とか(これは既に行われています。それでも上のニュースによると”不可”にされることが多いみたいですね)
その後発薬品がどの薬の後発なのか、処方箋や全ての医療情報に記載されるようにするとか、もう少し仕組みの変更が必要なんだと思います。
そのためにはオーダリングシステムやカルテの電子化が必要になると思います・・・






2008/08/06

療養病床22万床


平成17年度の総医療費は33兆1289億円

その約3分の1が国からの給付です。


65歳以上老人医療費は総額で平成17年度16.8兆円と総額の過半数(51.0%)を占めています。

年齢によって必要な医療費が全然違うのは当然です。
年をとったら病気になります。病気になったら治療に必要なお金がかかります。

ということは、日本はもう既に高齢化社会に突入しており、高齢化率(65歳以上の割合)は約20%です。これが2055年には高齢化率が約40%になると言われています。

医療費のほとんどを65歳以上で消費するというのに、これから先いったいどれくらい総医療費は増えるのでしょうか。

だから、国は医療費を抑制する手段を色々考えているわけです。


昨日のニュースです。
療養病床、存続22万床に 厚労省方針
療養病床を減らして患者を、医療を行うことができない介護療養型の施設や老人保健施設、自宅に移すことで医療費を抑制しようというのです。コレ、実際には受け入れ先がなくて自宅に退院させられるのが目に見えてます。

気持ちは分かりますが、この方針は患者さんの立場には全く立っていないと思います。
なんとか22万床が継続されて良かったと思います。

実際に入院している患者さんとその家族の気持ちを代弁すると、こうです。

「重い障害を抱えている患者を自宅にどうやって連れて帰れって言うんですか?食事をさせるのも、風呂に入れるのも、用を足すのだって全て介助が要ります。家には年老いた夫と二人暮らしなんです。できるだけ、長く病院に入院させてください。」

こんなような訴えは本当に現場でよく聞かれます。


患者の立場に立った政策が望まれます。



コレに加えて病院の入院日数についてコメントしたいことがありますが、これはまた後日。


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