2010/07/24

【Lancet】これからの痛み止め薬


痛み止めにはさまざまな種類があります。全国の日本の病院で使われている、代表的なものはロキソニンやボルタレンでしょう。

それに対して比較的最近発売された痛み止めにセレコックスというものがあります。これは選択的COX2阻害薬といって、ロキソニンやボルタレンでしばしば問題になる胃・十二指腸潰瘍、腎障害のリスクを減らせる鎮痛薬です。

今まではハイペンというCOX2阻害薬がありましたが、痛み止めとして切れ味が悪いのであまり使われませんでした。それに対して最近発売されたセレコックスは痛み止めとしての効果も高く、より選択的にCOX2を阻害して副作用を抑えることができると言われています。

ロキソニンやボルタレンはその副作用が広く知られていますので、それらと一緒に胃薬を処方されるのが普通です。そこまでしてロキソニンやボルタレンに多くの医者がこだわっているのは、やはりその効き目からだと思います。両者とも切れ味の鋭いいい薬なのです。

実際には僕も臨床ではロキソニンばかり使っています。


Celecoxib versus omeprazole and diclofenac in pati... [Lancet. 2010]

この論文には、これから痛み止めを処方する時はいつものロキソニンをやめてセレコックスにしようかと思わせる結果が載っています。

32カ国、196施設で変形性関節症や関節リウマチなど関節痛のある患者に対して、6ヶ月間にわたる二重盲検、無作為化試験を行っています。一方の患者にはセレコックス200mgを1日2回、もう一方の患者にはボルタレン徐放剤75mgを1日2回、それに加えて副作用対策でオメプラゾール20mg(いろいろある胃薬の中で一番強力)を1日1回投与しています。


その結果、胃十二指腸における副作用はセレコックス群において有意に低かったそうです。


痛み止めをたくさん処方する立場としては、なるべく副作用が少なくて、効く薬を処方したいと思っています。そう考えると、この論文は朗報に見えます。

ただし、セレコックス200mg1日2回と、ボルタレン徐放剤75mg1日2回が同等の鎮痛効果だとしてなのですが。。

まずはセレコックスの効果を確認する必要がありますので、この論文と同じ量の200mg1日2回を処方してみたいと思います。


ちなみに、ボルタレン徐放剤は日本では1錠32.5mg、1日2回の使用とされています。それなら70mgを1日2回も使えば、いくらPPIを併用していても胃十二指腸潰瘍が起きるの当たり前なのでは?という意見もあると思います。


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