2009/08/11

Vertebroplasyは効果がない!?腰痛治療にがっかりな結果。


若田光一さんが宇宙から帰ってきて間もないですが、帰国後、骨粗鬆症を心配するニュースがありました。

宇宙は無重力空間ですから、地球上で意識せずにかかっているはずの重力が身体にかかりません。

人間の骨は破壊と生成を絶えず繰り返していますが、無重力空間だとこのサイクル遅くなります。そうすると、骨密度が低くなり、骨粗鬆症となります。

この病態は通常高齢者に多くみられるものです。骨粗鬆症がひどいと、脊椎が圧迫骨折を起こします。高齢者の背中が丸くなっているのは症状の有無にかかわらず圧迫骨折を起こしているからです。

脊椎の中でも腰椎や胸椎の下の方でよくこの圧迫骨折が起きます。

圧迫骨折の治療は通常、痛み止めを使いながらつぶれた骨が固まってしまうのを待ちます。痛みはかなりひどいことが多いので、体幹コルセットやカルシトニン類似の注射などを使うこともあります。
他にはVertebroplastyという1990年代から注目されてきた治療法があります。

日本ではどこの病院でもやっている治療法ではありません。どんな方法かと言うと、

The treatment, vertebroplasty, injects an acrylic cement into bones in the spinal column to ease the pain from cracks caused by osteoporosis, the bone-thinning disorder common in older people.

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と脊椎の中に医療用のセメントを注入して骨を固めてしまうという方法です。


Doctors began performing it in this country in the 1990s, patients swore by it ― some reporting immediate relief from terrible pain ― and it soon caught on, without any rigorous trials to determine whether it really worked.

これで腰痛がよくなると言われてきました。日本だとあまり一般の整形外科ではやっていませんが、ペインクリニックなんかでは行っているようです。


今回のこのニュースはこの治療法を否定する内容になっています。

The studies of vertebroplasty, being published Thursday in The New England Journal of Medicine, found it no better than a placebo.

このネタの出所は「The New England Journal of Medicine」という権威ある医学雑誌です。

The researchers prepared cement even during the sham procedure, so patients would smell it and imagine they were receiving it. The Americans assessed the patients one month later, and the Australians at one week and at one, three and six months.

対照群ではセメント注入と同じ手技でセメントの香りまで演出して患者に体験させています。

Vertebroplasty failed the test in both studies. The treated patients and the control group each had pain relief, but there was no difference between them.

結果、対照群でも痛みがとれたと。プラセボ効果ですね。セメントを注入してもプラセボでもどちらも同じくらい痛みがとれるのではセメントを注入した方がいいということにはならないですね。

これは衝撃的な結果でした。痛みに対する治療というのは本当に難しいものだと思います。





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