2008/07/23

入門医療経済学1



入門 医療経済学入門 医療経済学
(2004/03)
柿原 浩明

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分かったようで分かりづらいのが医療経済学だと思います。
この本は内科医であり、経済学者の著者によるものです。

著者が医師だからでしょうか、前回読んだやさしい医療経済学とは少し視点が違います。私が求めていた情報により近いと思いました。

出版が少し古いので、データも少し古いです。
概観をつかむには大きな問題ではないと思いますので、気にしないでください。


再び整理していきます。

社会保障の存在理由ですが、
憲法25条より
「すべて国民は健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する」
「国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障、及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」
が元になっています。

これがあるから私たちは安心して生活ができる。セーフティーネットということです。

社会保障の中に教育や医療があります。

国民医療費の合計は31兆円です。その内訳は保険料が15兆円、自己負担が5兆円、税金が10兆円
です。税金が10兆円と3分の1を占めるので、医療費が増えていくことに対して政府はそれを止めようと躍起になります。

そもそも保険の構造に問題があります。高齢者や低所得者の方が病気になるリスクが高いのに保険料は安くなっています。
そりゃー税金で補うか、国が病院に支払うお金を少なくしてしまうかしかなくなりますよね。

なので医療費を抑えるために国は施設の基準を厳しくして、それを満たさないとお金は出さないよ、という風にしてみたり、診療報酬を下げたり、患者自己負担を増やしたり、などなどいろいろ画策しているわけです。

いつも思うのですが、ほんとに他に削れる予算はないんでしょうかね?


本題に戻って、その社会保険ですが、
分類すると

1.医療保険
①健康保険・・・サラリーマン
②国民健康保険・・・自営業の人、無職の人
③船員保険
④共済保険・・・学校の先生が加入


2.年金保険
①厚生年金・・・サラリーマン
②国民年金・・・自営業の人、無職の人
③共済年金・・・学校の先生


3.介護保険


4.雇用保険

5.労災保険



医療保険について
傷病手当金、出産手当金なるものがあるのをご存知ですか?
細かい規定はありますが、
疾病のために4日以上働けなかった場合、健康保険から約6割の給付が出ます。
出産のために働けなくなった場合も約6割の給付があります。

その他にも出産育児一時金、埋葬料、高額療養費などなどあります。

高額療養費なんて、どれだけ高額な医療費がかかったとしても(もちろん保険診療)、一定上限までの自己負担でいいという制度です。
具体的には一般市民税課税世帯で最大負担は7万2千3百円+αまでで、これを超えるお金は健保からバックされます。

たくさんありすぎて覚えきれませんが、これらの知識はある程度あった方が自分の身を守るという意味で良いと思います。

しかし、知らない人はどうなるんでしょう?きちんと保険組合が管理して、余すところなく給付してくれているんでしょうか???


年金について
年金には長い目で見て、金利の変動というリスクがあります。
厚生年金などは金利によりマイナスがでたら、その損失は企業が被ります。
なので、最近は確定拠出型年金というのが導入されてきています。
401Kって聞いたことないですか?あれです。
この制度だと掛け金の運用は企業が提供する投資信託などの運用商品の中から従業員が自己責任で運用しなければなりません。

我々はせっせと毎月年金保険料を納付していますが、それだけでは足りないので3分の1を国が負担しています。

年金には障害基礎年金遺族基礎年金という制度もありますので、知らなかった人は覚えておいた方がいいと思います。条件にはまれば給付が受けれますので。


介護保険について
これは市町村を保険者とし、患者負担は原則1割。最大でも個人の負担は3万7千2百円です。
残りを税金と保険料で半々に負担しています。

被保険者は40~64歳の条件付きの人、65歳以上の人全員で、月約4千円の保険料(地域によっても違います)となります。

給付の程度は、1日当たり30分未満の要支援~110分以上の要介護5まで6段階の介護度に分かれていますが、これは市町村で判定されます。
我々はよく”主治医意見書”の記載を依頼されます。
この意見書を参考に判定されるようなのですが、どの介護度にするかは医師の裁量では決められません。



話は少し変わります。

老人保健制度について
老人の医療費を国民全体で負担することを目的としています。
医療保険に加入している75歳以上が対象。75歳以上なので、ほとんどが国民健康保険加入者。
自己負担原則1割。
残りを税金と保険で半々に負担する。

この制度が後期高齢者医療制度に移行されたということですね。


押さえておきたいポイントがありすぎです。

続く・・・

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