2008/07/24

入門医療経済学2



入門 医療経済学入門 医療経済学
(2004/03)
柿原 浩明

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世界の医療制度

イギリス
・基本的に患者負担なし
・税金でほとんど賄われている
問題は自己負担がない分、国民に医療の選択権がないこと。
住んでいる地域によって家庭医が決められてしまう。また、手術がなかなか受けられないなどの問題がある。

アメリカ
・国民皆保険ではない
・保険は民間の保険
お金のない国民は保険に加入できない。
なので一応メディケア、メディケイドなどの公的医療保障制度がある。
・それでも医療費の15%は税金で負担されている



病院経営について

病院というのはつくづく特殊な環境だと思います。

現場で働く医師の多くは医局からの派遣という形で病院に勤務しているため、病院の経営にはあまり関心がないのです。医局から評価されるためには通常、論文を書いたり、研究をしたり、そういった活動が必要になりますが、病院の経営をいくら良くしても医局からは評価されないのです。

病院経営について本当に真剣に考えている医師は少ないと思います。

そもそも、多くの医師のモチベーションはそういったコスト削減とか、売上げを上げるとかそういうことがメインではなく、純粋に「患者さんを救いたい」、ということにあるのが普通です。

また、医学部の教育では病院経営のことについては教わりませんし、大病院の一勤務医であれば、経営の良しあしが給料に反映されることもあまりありません。

そのため、病院経営については意識が希薄になります。


最近は少しずつですが、病院全体でコスト削減に取り組まれているようですが、まだまだ現場の医師に十分浸透しているかは疑問です。



以前にも当ブログで取り上げた機能分化の話

一部の患者さんは気付いているかもしれませんが、
一般に急性期医療を担う病院(地域の基幹病院)では、だいたい2週間以内の退院を目指します。
それを超えるようなら療養型の病院に転院するように促されます。
というのも、患者さんとしては退院まで同じ病院で治療を受けたいという気持ちなのが普通でしょうが、平均在院日数が17日以下でないと診療報酬の加算がとれないという病院の理由があります。

救急医療にしても然りです。救急医療をやっていると病院には診療報酬の加算があります。

機能分化を進めるための政策として、紹介率30%以上なら診療報酬の加算があります。外来患者はなるべく地域の開業医で診るようにという狙いです。



医師の方、だいたい病院で上の先生からああしろ、こうしろと言われることにはこういったお金の背景があるようですよ。
最近病院の中で言われていること(例えば、紹介率を上げましょう!とか)と国の政策の関係に注目してみると言葉の裏が見えて面白いかもしれません。


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